ひみつのはら

 さっちゃんがなにか言おうとして、あたしがまたにらもうとした―――そのとき。


「こんにちは〜」


 聞きなれた声が、後ろからした。


「……飛鳥先生……?」


「あれー?こっちゃんにさっちゃん、どうしてここに?それから……やっとお会いできましたね。小林先生」


 どうして飛鳥先生が!?さっちゃんもビックリしてる。


「病院に行ってもお会いできなかったのに、まさかお家にいらっしゃるとは。今日はお休みでしたか?」


「いや……資料を取りに来ただけですが」


 大人2人、一歩も引かず。でもよく見ると……飛鳥先生のがよゆうだな。


「ところで、最近妙な話を聞いたのですが……」


 飛鳥先生は、あたしたちが話したことを言い出した。


 ――もしかして、あたしたちのことを信じてくれたの……?


「だから、家庭訪問をしてみようかと思いまして」




 もし、たっくんがこの中にいるとしたら。


 この人は、先生を中に入れないだろう。


「すみません、いきなりそう言われても……。あの子は実家に預けています。それに、今家の中は散らかっていて、とてもお通しできないので」



 思ったとおり、入れないつもりだ。




< 210 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop