ひみつのはら

「もし、夢を食べられてみゆきたちの夢が無くなっちゃったら……どうなるのかな」

 夢が、無くなったら?

「夢が無くなるって、どういうことかな」

「寝てる時の夢は見ない日もあるから、大丈夫だよね」

「でも、〝大きくなったら〟とかの夢は……」

 さっきも言ったように、それは未来。未来が、無くなる?

 ふと思い出す。お姉ちゃんに会う前の頃。

 お父さんもお母さんも亡くして、周りの大人にいじめられてた頃。

 未来なんて考えもしなかった。

 あたしは一生このままなんだって、諦めてた。

「みゆき、バク怖い。夢が無くなったら、どうすればいいか分からなくなっちゃうよ」

 みゆきちゃんの声が妙に響く。

 何て言えば良いか分かんないけど……夢の無かったあたしは、今のあたしとは全然違う気がする。

 あの頃、何を言われても平気でいれるように未来を捨てたんだ。

 でも、それでも……すごくつらかった。

「夢が無いって、とってもつらい事かもね……」

 あたしの意見をどう聞いたのか。みゆきちゃんは黙ってあたしの手を引いた。


 〝夢を食べられないように、未来を盗られないように、早くここから離れよう〟


 
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