秘密のフィアンセ☆
「信じられない・・・」


絶句する私を尻目に、父は立ち上がると、部屋から出る間際に言った。


「正式な婚約は、今週末だ」


驚いて振り向くと、すでに父の姿はなかった。


何で、いきなりこんな展開・・・。


春から、ようやく高校生になるというのに。


彼氏を作ったり、いっぱい遊ぼうと思っていたのに、婚約者の家に住むんじゃ、それも出来ないじゃない。


「一体、どんな人なのよ・・・武智祐斗って」


椅子に背もたれながら、私はもう一度、深いため息をついた。

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