子うさぎのお世話




雪兎は思わず彼女をじぃっと見つめた。



「……っ!?」



するとアンナはひるんだように少し後ずさる。



「……?」



雪兎はその焦ったような態度が不思議で、首をこてんとかしげた。



「…か…かわ……っ」



思わずといった感じで後ろにいた女の子が声を出し、アンナにギロリと睨まれる。



雪兎に見つめられて平常心でいられる人はなかなかいない。



雪兎は他人を見つめる時、あまり瞬きをしない。



それは彼女の癖であるのだが…



人形めいたどこか幼げな容姿の雪兎がするとまるで本当に無垢な子供のように見えて…



母性や父性…庇護欲といった感情が無性に刺激されてしまう。



「と…っ、とにかく!文化祭が楽しみね。」



気をとり直したアンナは早口でそう言って足早にその場を後にした。



「…ほんとに、なんだったんだ?」



後に残された雪兎には謎ばかりが残ったのだった。







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