子うさぎのお世話

ずっとずっとあなたと一緒に

「……雪兎、用意は……!」




「もう出来てるよ……」


控室のドアを開け、雪兎を見つめたまま…母は口を両手で覆い、瞳には涙を溜めて固まった。


雪兎はそんな彼女の側に行き…母を優しく抱きしめた。


「ごめんね…雪兎……。ママ…なんだか急に……!」


「……ママ」


「今までだって…仕事仕事って、あんたをハル君に任せっきりだったのに……。もう、子供のままの雪兎じゃないんだって思ったら……っ」


寂しいのだと…、母は目にハンカチをあてて言った。


「この日の母親って複雑ね……。嬉しくて誇らしいのに、堪らなく寂しいわ。パパなんて今だにあなたを見れないのよ?」


母は涙を拭きながら雪兎に眩しそうな笑顔を向けた。



雪兎は控室にある大きな鏡に映る自分を見つめた。



時春と再会した16歳の自分はそこにはいない……。



あれから5年………。



20歳の自分は…純白のウェディングドレスに身を包み、そこにいた――……。








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