子うさぎのお世話
暖かな春の陽射しが白く輝く教会をさらに美しく見せていた。




「アキっ!早くしなさいよ!」


「だぁってよぉ!蝶ネクタイとか初めてだもん~」



きらびやかに着飾った二人のカップルは容姿でも賑やかさでも…善くも悪くも目立っている。



「……おまえらなぁ…」


時春は呆れた顔で親友二人を見てほんの少し笑顔を見せる。



「キャーっ!さすがハル~っ!!似合いまくりな新郎様ね?」


「めずらしく笑顔だよな~。……ま、念願の日だしなぁ?」



二人はそれぞれニヤリと笑い白いタキシードに身を包む新郎姿の時春を見た。



時春は少しバツの悪そうな顔をすると、
二人の顔を交互に見た。



「……ありがとう。ナツとアキが親友で幸せだ」


「「………!!!」」



それだけ言うと、時春は笑顔で教会の中へと入って行く。



秋良と棗はポカンと口まで開けて時春が歩いて行った教会を見つめた。



「……び…っくりしたぁ…っ」


先に声を上げたのは棗だった。


「あいつさぁ…、クールなりに浮かれまくってるよなぁ~…」


「ま…、うさを手に入れる日だし?……まさかこんな早いとは思わなかったけどね~」


「え~、予想内だって…。ハルがンな辛抱強い訳ないしー…。でもいいな~。うさたん幼妻……」


「まさに超萌えね!!」


「……ちょっとは妬いてよ~…」



棗は、バカねと笑い秋良の手をとって軽やかに歩き出す。


この日の為に用意したハイヒールがコツリと音を響かせた。




今日は雪兎と時春の結婚式―――



美しいこと間違いない親友の姿を見るために、棗は幸せな気持ちで晴れ渡る青い空を見上げた。









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