子うさぎのお世話




周りは呆然としてその光景を見つめていた。



まるでドラマの恋人達を見るような光景に言葉も出ない感じだ。



「…おそい…。」



腕の中で、やっとそれだけ呟いた。



小柄な雪兎は彼に片腕で抱き上げられるようにされて、まるで大人と子供のようだ。



「…悪かった。」



彼は苦笑して決まり悪そうにそう言った。



鋭い切れ長の瞳が雪兎を見つめてとろけるほどに優しくなって…



遠巻きに見ている女の子達がキャー!と色めきたった。



それにしても…と、雪兎は思った。



10年の月日は長かった。



抱っこにより同じ目線になった彼の顔をじっと見つめた。







< 6 / 197 >

この作品をシェア

pagetop