子うさぎのお世話
子供のくせにずるくて腹黒い自分…。
真っ白な雪兎が眩しかった。
でも…手離したくなんてない。
――――それだけは、出来ない。
雪兎…こんな醜い気持ち…知られたくない。
父親の海外転勤で引越しが決まった時、地獄に突き落とされたと同時に、心の奥底でうさを自由にしてあげなきゃだめだと…
ほんの少し残っていた綺麗な子供の自分が言った。
雪兎の元に帰る準備を整えつつ、もし…雪兎が時春を忘れ幸せにしていれば…
自分は雪兎を手離すつもりでいた……。
10年もの間、手紙の一つも出さなかったのもその為だった。
これは時春にとっての《賭け》だった。
そして…
自分は賭けに勝ったんだ……!
雪兎はまだ時春を忘れずにいてくれた。
雪兎を腕に抱いたとき…もうこの想いを諦められない。
そう、思ったのだ。