君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
「ん? 何だ?」

達也が解ってくれないようなので、瑞希は達也の腕を掴み、目一杯背伸びをし、上目遣いで「高いですよ」と囁いた。

その仕種が可愛いくて、達也は一瞬ボーッとしていたが、我に返ると値札を指で摘み、チラッと値段を見た。

「これくらいなら構わないよ」

「え? そんなにお金持ってるんですか?」

「金はあんまりだけど、カードがあるから」

「カード…?」

達也は、大手クレジット会社と提携した銀行のデビットカードを持っていて、口座の残額までなら、そのカードで買い物などが出来る。

口座には父親が毎月かなりの金額を生活費として振り込んでおり、達也はあまり気にしていないが、実はこの2年で相当な金額が貯まっていた。

「そう。だから瑞希は値段の心配しなくていいから」

「でも…」

「“でも”は禁句だろ?」

「………」

そう言われて口に出せなくなったが、心のなかで「でも…」を繰り返す瑞希だった。
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