君に笑顔を ~地味子に恋したイケメンのお話~
すると、瑞希は驚いた顔で達也を振り向いた。

「前を向いて?」

「自分でやりますから…」

「おまえさ、安心して敬語使ってないか?」

「え? あ、自分でやるよ」

「いいから、前を向いて?」

「でも…」

「“でも”はなし」

達也は瑞希の頭に手を当てて強引に前を向かせると、手櫛を当てながら瑞希の髪の毛を乾かしに掛かった。

瑞希は人からこんな風にされた記憶がなく、恥ずかしさとこそばゆさで頬を赤らめていた。

達也も人にこんな事をするのは初めてで、しかも自然に行う自分自身に驚いてもいた。

とにかく瑞希といると、今までの自分とは違う振る舞いをしてしまう。

それはなぜなのか、そんな疑問を抱く達也だが、答えはまだ見つからなかった。
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