あの足があがるまでに
はじまり
短長走部の説明を沙良に聞いて、その日は帰った。
説明はこうだった。

短長走部は短距離・長距離どちらも得意にして、大会にでようという内容だった。

陸上部でもいいのではないかと聞いたのだが、沙良いわくこの学校の陸上部は陸上経験者の教師も居ず、顧問も体育教師ではなく他の科目の教師だとか。

でも学校自体に陸上経験者がいないのなら同じでは?と言った。だが、沙良の親戚に陸上経験者の何年前かに先生を辞めた人がいるんだそうで。その人にお願いして、部活の時間だけきてもらえるようになったらしい。

なんて親切な人なんだろうと思った。明日の午後練習で御対面らしい。

その日の夜は明日が楽しみで楽しみで寝られなかった。

そしてとうとう翌日。
授業中なのに、部活が楽しみで鼻歌をうたってしまい、エリートな俺は初めて注意をくらった。それもあの小林に。

小林とはあの電話から結構仲が良くて、何でも知っている仲だった。それだから、鼻歌の原因もあいつは知っているのだ。

そう考えるとますます恥ずかしくなった。

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