あの足があがるまでに
ついに、午後練習の時間。

今陸上部は駅伝に向けて外周を走っているらしく、グラウンドが使える。だから沙良にはグラウンド集合、と言われた。俺はグラウンドにスキップで行く。

案の定、周りからは白い目で冷たい視線を感じた。

だけど今のおれにはそんなことは全く通用しなかった。


恐るべき速さのスキップでグラウンドのど真ん中に向かって行った。

グラウンドにはもうすでに沙良がいて、もうひとり背の高い男の人がいた。

「大輔、遅い!スキップなんてしないでよ、気持ち悪い。」

結構ストレートに言われたのでグサッときた。

「ご、ごめん沙良。」





「初めまして」


上から声が降ってきた。と思ったらあの、背の高い男性だった。

「ああ、大輔。こちらはあたしの親戚の河里優哉。ええと何歳だっけ?」

「初めまして水野大輔君。んと、28だよ。」

「はは、初めましてっ!だ、大輔って呼んでください!ええとええとっ!」


あまりにも優哉さんの背が高いこと。それと、こんな人とこれから練習してゆけるという嬉しさ。そのせいで俺は頭が混乱してまともに喋れなかった。


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