DOLL
ユラは寂しそうに笑った。

何かを問いかけるようにヤナに微笑みかけたのだ。


悟ったようにヤナはユラを見る。

「でもね、不老不死だからっていいことばかりじゃないわ。この意志はこの魔法をかけた第1者しか支配はできないの。つまり、定期的に魔力を注入しないと生きてはいけない」

ヤナはユラを見つめたまま、全てを理解した。


だがユラはそれを認めなかった。

「違うわ。不老不死なんて嘘。ただ自分の意志も協調できぬまま生かされてるだけだわ」

そう言うと台から飛び下りてヤナに近付いた。

手を触って真っ直ぐに、でも悲しくヤナの目を見た。

「逃げて、ヤナ…ヒノト達、あなたを利用しようとしてる。あんな戦争に出て行ったら、死んでしまう………」

視線を下げ、両手でヤナの手を包んで突っ伏した。

その直後にヤナは身体の異変に気付く。



身体が軽くなるのが分かった。

ゆっくり起き上がってユラを見下ろした。

「………」

触れられていない左手を強く握ったが、次の瞬間には緩めてユラの頭を撫でた。
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