君のいる世界

5月 ~莉沙~




3人とはあれから仲良くなった。
彩音ちゃんとは毎日一緒!!
なかなか慣れないけどすっごく嬉しい♪


「ぼーっとしてどしたの?」
莉沙って顔を覗き込む彩音ちゃん。


「ううん、なんでもない!」


「そぅ?ならいいけど!」
優しい笑顔で私を見てくれる。


「ていうか咲哉くんも悠都くんもこないね」
寂しそうに呟く。
彩音ちゃんは宇野くんが好きらしい。


宇野くんは優しいし、面白いし、なにより顔がいい。
1年だけではなく上級生まで宇野くんに告白している。
でも、宇野くんは1回もOKをだしてないみたい。


篠原くんはクールだから宇野くんよりは人気が少なそうと思ってたけど違うらしい。
女の子はキャーキャー騒いでいる。
告白されても「好きなやついる」って言われるみたい。


「彩音ちゃんは本当に宇野くんが好きだね」
ちょっと寂しい…


「シーっ!!聞かれたらどうするのぉ」
慌てて私の口を押さえてキョロキョロする。


私が頷くと手を離してくれた。


「ごめん。あっ!きたよ」
窓から校庭を指すと、彩音ちゃんはそこから身を乗り出して外を見る。


「咲哉くーん!悠都くーん!おはよー!!」
大きな声で叫ぶと、下から宇野くんが手を振っていた。


「手振ってくれたぁ!ちょー嬉しい!!」
泣き出しそうな勢いでキャーキャー騒いでいる彩音ちゃん。


「よかったね♪でも、そろそろ落ち着かないと…もうくるょ?」
教室の入口を指すと彩音ちゃんは静かになり、鏡でチェックしている。

これは毎日のこと。




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