キミに真心をこめて

自分の耳を、更に疑った。


『おばさんが…この手紙を!?ありえないでしょ!!だって、この字はどう見ても遥の字だし…。』


『親子だもの。字くらい似るでしょ。遥の字は私の字に似ているから、助かったわ。』


涼しげな声でそう言うおばさんに、苛立ちを覚えた。


俺は遥が助けを求めていると思ったから、わざわざ東京まで来たのにー…。


『俺を試したんですか??俺で遊んだんですか??』


声のトーンが変わったのが、自分でもわかった。
おばさんが何のために、こんな事をしたのかわからないけど、俺はもうここにいる必要はない。


『怒らせたのならごめんなさい。でも佐瀬くん、こうでもしなきゃ遥に会いに来ないでしょ??』


確かに。おばさんからの偽手紙が無かったら、俺は確実にここにはいない。


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