響け、空に―
「いっせーのーせっ!!」
孝の一言でカードを出す。

種目はスピード。


私はトランプのなかでもスピードが得意だから勝てる。



………はずだった。


「よっしゃー!!俺の勝ち!!」


「………よかったね。」

孝は予想以上に速くなっていた。


「じゃあ命令な!!

ん〜……。これから毎日見舞いに来い!!」


「はぁっ!?何でよ!?」


「お前、笑わないって言われてるんだってな?

なら昔みたいに俺が笑わせてやるよ!!」


「余計なお世話!!」


私が反対するもむなしく…

この日から孝の家に通うこととなってしまった…。


その日は、最近の授業内容などを伝えた。
けれど、病気なのかは聞けなかった。




孝の家から帰るとき、美咲さんはいつもの笑顔に戻っていたが、

目は赤く、腫れていた―――。
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