最果ての月に吠える

第2話 月の心に住む

第2話 月の心に住む





冬の吐息を拒むように少しだけ高めにされた部屋の温度とただ静かに凝視している小さな加湿器の所為で、





薄らと汗ばんだ乳白色の肌を太く力強い五本の指が繊細な模様の施されたバカラのグラスを弄(モテアソ)ぶかの如く這い回る。





その指が大腿部(ダイタイブ)から臀部(デンブ)を経てやがて左の乳房へ辿り着く。





見上げるその麓(フモト)には赤黒く輝く三日月のような傷跡が、誇らしげに魅惑の光を向けている。





彼は私にキスをすると、メンソールのタバコに火を点けた。





「私も―――」





緩く開いた唇に挿し入れられるフィルターは僅かな苦味がした。





何の変哲もない私も吸っているタバコなのに。





こんなにも心を穏やかにしてくれるのは、どうしてだろう。





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