意地悪てぃーちゃー
「なぁ心。お前の気持ちは、痛いぐらい分かる。無理に忘れろとも言わん。でもな、ゆっくり前を向いて歩き出せ。じゃないと、この先も心がしんどくなるぞ。」


「うん。もう思い出になってんのに、不意に思い出すねんなぁ…。あの手紙も、最後の高橋ちゃんの表情も。こんなんじゃアカンよな。」


苦笑いしながら、井澤に自分の気持ちを話してた。
井澤はそれを真剣に聞いてくれてた。


「強がりよって。高橋の手紙、今持ってる?」


「うん。」


「貸せ。」


うちは高橋ちゃんの手紙を、井澤に渡した。
井澤はそれを受け取ると、自分のポケットの中にしまった。


「これは、心が卒業するときに返す。それまで没収や。それと、ちゃんと英語の授業受けること。」


「絶対、中身読まんとってな。ちゃんと受けるし。」


「高橋の書いた手紙とか、興味ありませーん。荒木ちゃん泣いててんからな~。あっ…荒木ちゃん連れてこよ。ちょい待ってて~。」


井澤は生徒会室を出て行った。
高橋ちゃんのことで、泣かんくなったって事は前に進んでるかな~?


しばらくすると、井澤が荒木ちゃんを連れて帰ってきた。


「あっ北沢やん。2人で今まで密会ですか~?ってか俺、明らか邪魔ですよね?」


「アホか。心に英語の授業の話しててん。なっ心。」


「うん。荒木ちゃん、今までごめんなさい。解決しました。」


うちはそう言って、荒木ちゃんに笑顔でピースをした。
高橋ちゃん…うちは前に進みます。


「それはよかった。高橋先生?やったけ…?連絡しようと思っててん。」


「荒木ちゃん…それはアカン。」


井澤は本気で荒木ちゃんに訴えていた。
うちに知られたくない、理由のような気がした。
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