意地悪てぃーちゃー
井澤は、うちの涙を優しく指で拭きとった。


「泣くな。心は笑顔が一番やねんから。なっ?」


そしてうちの頭を、ポンっとした。
鳴りやまんうちの心臓…


井澤に聞こえてませんように…。


うちは少し照れながら、井澤に笑顔を見せた。


「それでよしっ。さて、昼から暑なるし帰るか。送ってったろ。」


「やった~。先生ありがとう。」


学校と家、結構距離あんねんな~。
夏とか暑すぎて地獄やもんな。


うちはそのまま井澤と生徒会室を出て、井澤の車に乗り込んだ。


今日は後ろに乗った。
今さらやけどな…。


「あれっ?心~。隣来いよ。ほれ。」


助手席をボンボン叩く井澤に負けて、うちは助手席に移動した。


「おっし。んじゃ出発や~。」


井澤は車を走らせた。
やっぱ車は快適やな~。


そんな事を思いながら、車を運転する井澤を見ていた。


「そんな見つめんな~。気分悪いんか?あっ…俺の格好良さに気付いたか?」


「はっ?んなワケ無いし。先生オッサンやん。」


結局、こんな言い合いをしてるうちに家の前に着いた。


「先生ありがとう。」


「おう。次は生徒会やな。寝坊すんなよ。またな。」


井澤は手を振って、帰って行った。

はぁ~
うちの頭の中は、荒木ちゃんの言葉でいっぱいいっぱいやった。
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