新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「ここって一体……」
私の呟きにリュウが答えた。
「恐らくここは、また別の並行世界だ」
「う、嘘……」
「これはあくまでも仮説だが、影は一種のブラックホールのような存在なのかも知れない」
「ブラックホール?」
おうむ返しに呟いてみても、ピンと来なかった。
「光さえも吸い込むブラックホールが、逆に何でも吐き出すホワイトホールと繋がっている、という話を聞いたことはないか?」
「ああ、何かの映画で観たかも……」
「影が生物の中に入りこんで、取り憑いた相手を食べ尽くすというのは、俺たちの勝手な思い込みだったんだ。
影は相手を自分に取り込んだあと、その生物を別の次元に排泄してるのかも……」
「じゃあ、私たちは影の排泄物……?」
笑いそうになった。
「問題はここがどんな世界で、シンにどうやってこの場所を知らせるか、だ」
そう言いながらも、彼は私から離れて辺りを見回し、手近にあった植物の葉をちぎってしげしげと眺めていた。
「原始的な植物だな。もしかしたらここは隕石の衝突による氷河期を迎えなかった世界なのかも」
「氷河期がなかった地球……」
想像出来なくて不安だけが押し寄せてくる。