新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
首をかしげながら、今度はクローゼットに入る前の記憶をたどってみた。
昨夜も私は、夫が眠ってからパソコンを立ちあげた。
その『よろず承り処』という、いかにも怪しげな謎のサイトに出会ったのは3ヶ月前。
『貴女のためにできること、何でも致します』
ちょっといかがわしい謳い文句が目を引いた。
かと言って、性的なものをうかがわせる画面ではない。
あるのは依頼内容やその理由を入力する画面と、返信用アドレスを打ち込む小さな枠。
『管理人が興味を持った依頼人にのみ返信いたします』
という注意書がいかにも胡散臭い。
───けど、ここに書きたいことを書くだけでも、
少しは気が晴れるかも───
数ヶ月前、おそるおそるアクセスした。
『夫を私の前から消してください』
キーボードを叩く指が震えた。
自分以外、誰もいない部屋の中を何度も見回しながら、私に対する夫の仕打ちを書き連ねた。
このままだと、いつか自分が殺されるか、私が夫を殺してしまうかのどちらかだ。と異常で危うい日常を訴えた。
慎重にフリーメールのアドレスを入力。
屋上から飛び降りるような思いで、送信ボタンを押した。
一週間、返信はなかった。
───やっぱり───
期待なんかはしていなかった。