新パラレルワールド参加作品=The shadows=天才浅海ユウと凡才月星大豆の奇跡的コラボ[企画]
「違う……」
フウカが喉を押さえ、嗚咽をこらえるようにして言った。
「リュウさん、勘違いしてる。やり直すもなにも、シン先輩が私を異性として見てくれたことなんか、多分一度もない」
「じゃあ何でヤツはあんなに君を心配して……」
フウカは寂しそうに笑って、消え入りそうな声で言った。
「私、先輩の妹に似てるんだって。その妹さん、中学生の時に火事で亡くなってて……」
その話は以前シン本人から聞いていて、俺の中で強烈な印象として残っている。
類焼した自宅から運び出されたシンの妹は煙を吸って亡くなっており、火傷もなく、今にも目を開けそうに見えたという。
「消防の人間に止められて中に入れなかった。あの時、何が何でも飛び込んで助けていたら……」
言いながら悔しそうに拳を握ったシンはそして、いつになく酒に飲まれ、その夜は見るも無惨に酔い潰れた。
そんなみっともないシンを見たのは、後にも先にもそれっきりだったからだ。
「そうか……。シンの妹に……」
「初めて告白した時に『悪いけど妹にしか思えない』って言われたの。
それでも私は先輩のことが好きで好きでたまらなくて、自分から何度もデートに誘った。先輩、仕方なく付き合ってくれてたんだと思う。
でも私は、いつか先輩が私のこと、女性として見てくれるんじゃないかって期待して……」
フウカが語る高校三年生のシンは今と変わらない堅物で、理性が強く、思いやりに溢れている。
「結局、先輩が大学二年の時にカノジョが出来たって言われてフラレたの。自然消滅なんて言ったけど、あれはウソ……」
彼女は涙を拭ってまた小さく笑った。
───生真面目なシンらしい話だ。
だが、そんなシンが、ただ高校時代に慕われていただけの後輩を助けるために、仕事もフィアンセも捨てるのだろうか───
やはり疑問が残った。