ストロベリー革命
「お掃除セットってどこに売ってるのー?」

「…………」

 尋ねるが、直に返事はない。

「ねぇねぇー」

「……ホームセンターとかじゃないの?」

「ホームセンターって何ー? 家がいっぱいあるの?」

 天花の地元にはホームセンターなど一つもない。したがって今日が初体験なのだ。

「家なんか売ってないよ! 天花ホームセンター知らないの!?」

「うん、知らなーい」

 駅に向かって歩きながら、二人は言い合っていた。

 天花があまりにも無知すぎるので、直は一から教えてやらなければならない。

 実に大変な役回りだ。

 駅に着くが、電車に乗った事のない天花は何が何だかわからず、ひたすら直に付いて行く。

「人がいっぱいいるんだねー。どうやって電車に乗るの?」

「切符買わなきゃ乗れないよ」

 天花の村の住人より、今ここにいる人達の方が確実に多い。

 人混みに呑まれそうだ。

「あたし買い方わかんなーい」

「わかった、買ってあげるからっ!」

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