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AM 11:12 クリスマスソングと白い絵の具
外の気温は4度らしい。
肌寒い、という易しい言葉は到底あてはまりそうにない。
冷たい北風が頬を撫でる、否、突き刺すように通り過ぎ、思わず肩を強張らせた。
流行りのクリスマスソングが、街中を華やかに彩る赤と緑のコントラストと共に、一層雰囲気を盛り上げている。
こんなに寒いというのに、道を行き交う人々の数は計り知れない。
クリスマスの魔力とでもいうか、すれ違う人の表情は、明るいものばかりだ。
友達同士で集まりはしゃぐ学生たち、手を繋いで寄り添いながら歩く恋人たち。
時折、サンタの格好をした人を見かけ、意図せず笑ってしまう。
キリストでもなければ、仏教というわけでもなく、ただ“クリスマス”というイベントを楽しむ人々の活気が街中に溢れていた。
ただし、3歩前を歩く、ロングニットコートを羽織っただけの同居人からは、眠気しか感じられないけどね。
「……メグル」
「んー」
「お前それ、絶対寒い」
「ぜんぜん」
「ありえねえ」
「ユヅルがね、寒がりなだけだって」
「気温4度だけど」
「生クリーム溶けなくていいじゃん」
コートのポケットに手を入れて、悠々と歩くメグルは、まさに我が道を行くという感じ。