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どこのケーキ屋がいいか、というのは聞かずに道を歩き出す。
メグルのお気に入りは、もうとっくの昔に把握済み。
そして今回も俺が先を歩く辺り、メグルは楽器屋からそのケーキ屋までの道を知らないようだ。
家からケーキ屋、画材屋までの道は熟知してるんだから、そろそろ他の道も覚えたらどうなの、メグルさん。
そんなんだと、もし俺が一緒に外出できなかった時とか、困ると思うよ。かなりね。
スーパーまでの道とか、知らないだろ、お前。
とりあえず、楽器屋までの道は覚えろよね。同居人が、よく行く場所なんだからさ。
「メグルー」
「んー」
「ケーキと、あとなんかいる?」
「コーヒー」
「それはある」
「じゃあいい」
「はいよ」
“今日はクリスマスだから”という理由は、メグルにはあってないようなものだ。
コーヒーがあれば、たいていは他を必要としない。
ケーキのほかに、何かクリスマスらしい食べ物とか、飲み物とか、あってもいいような気がしないでもないけど。
でもたぶん、あったとしても、食べないだろうけどね。メグルも、俺も。