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言葉を発するのが面倒だから、態度で表すんだって思ってたけど、たぶんそれ、違うよね。

本音を言うのが苦手だから、察してくれよって、意味なんじゃないの。

わかってるよ。どんだけの時間、お前と一緒に居たと思ってんの。


そんな、面倒くさがりで、実は不器用な同居人は、ケーキにフォークを突き立てて、掬うようにして持ち上げる。

その細い手を取って、スポンジと生クリームが当然のようについてきたそれを、俺はぱくりと口に入れた。

しっとりとしたスポンジと、柔らかく滑らかな舌触りの生クリームが、口いっぱいに広がった。

もちろん、甘い香りも一緒。



「……甘い」
「ケーキだし」
「久しぶりに甘いもん食った」
「嫌い?」
「いや、」

“嫌いじゃない”


自然と口をついて出た言葉。

メグルは少し頬を緩めた。




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