『アイシテル』を忘れない。


…結局、僕と那智は仲直りしたことになるのだろうか?

この年になって、「仲直り」って言うのもなんだかおかしいけれど。


「じゃあ、まぁ?俺らは友達だから、勝手に親友やめた!とか思うなよ?」
「お、おう!分かったよ!」


…少しギクッとなってしまったので図星だったことがおそらく那智にもばれただろう。

「あ、悠?沙雪、取り戻してやるから、覚悟が必要だからな?」
「…その時は、譲ってやるよ!」

そう言って笑ったら、那智は僕の頭を思いっきり叩いた。

「イってぇー!!!おま、何すんだよ!?」
「馬鹿だな?そんな時は「もうお前にはわたさねぇ!」とか言うもんなんだよ!」
「…お前以外になら、言ってやるよ!」

そう、いくら、那智が沙雪を悲しませていたって、沙雪の心は、僕が勝手に決めれるもんでもない。

僕に出来ることは、ただ沙雪の心の中に入る努力をするだけだ。

「…んじゃ、またな?言いたくねぇけど、沙雪よろしく!」
「分かってるよ!お前に言われなくても!じゃな!」

そう言って、僕らは自分の教室に向かって歩き始めた。

昨日那智に殴られたことなんてどうでもいい。
昨日は、沙雪がまだ那智の彼女だった事だってどうでもいい。

僕はただ、自分に出来ることをするだけ。
僕はただ、沙雪と手を繋いでいたいだけ…。

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