オルゴール


死体を見たことがない人はいないだろう。

そう思えば、多少気が楽になる。


生きている限り、人は死を見続けるもの。

どんな動物でも、その形が変わっていたとしても、死は死だと。


そう、自分に言い聞かせる。

言い聞かせていなければいけない。


それが、自分の大切なものの死だとしても、死は死である。

それ以外のなにものでもない。


例え、自分と同じ顔が、『その場』にいたとしても。

これから燃やされ、灰になるとしても。


一卵性の私の片割れが、もう目を覚ますことがなくても。

それは死であり、それ以外のなにものでもなく、受け止めなければならない現実である。


それが、最初だったように思える。


姉が持っていたオルゴールは、ネジを回しても、音を奏でることはなかった。

壊れたオルゴール。


壊したのは――。
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