背番号10番の後ろ姿

ガラガラ…
「失礼しますっ!」

緊張しながらも一歩、また一歩と歩いて顧問の所まで行く。

「あっあの!サッカー部マネージャーやらせてください!」
「え?」
職員室の中にいる先生、全員が頭にハテナマークを浮かばせる。
「あ…あの…」
美香が恐る恐る話をかける。
「アッハッハッ!」
顧問は大声で笑い始めた。
私と美香は顔を見合わせてた。
「あんた達ーサッカー部にマネージャー募集してねえんだよな!ごめんな!」

美香はそれを聞いて私に問いかけた。
「奈央…どうする?違う部にする?」
私は黙り込んでいた。
中学生の時は頑張って大好きなサッカーから離れないように、近くにいたのに…高校生になって離れるのは嫌だ。
私はそう思っていた。でも…どうすればサッカーに近づける、やっぱマネージャーしかなかった…。
「先生…私、ゴールに向かって蹴ります…。その蹴りがとても素晴らしかったら、私と美香をマネージャーにさせてください!」
…美香と顧問は目を大きくさせた。顧問は口だけ笑い、私にこう言った。

「チャンスは2回だからな」

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