出席番号1番
【生きること】(瑛斗視線)
「小論文のテーマでさぁ、こんなんがあったんだけど」
「何?」
「自分は何のために生きているのか」
「…………漠然としたテーマね」
「紗良は?紗良は何のために生きてんの?」
視線だけ俺の方に向ける紗良は、俺の目をじっと見てた。
少し無言を貫いた紗良は、静かにこう言った。
「知らないことを知る為。」
誰も文句が言えない正論とか難しい理論を言ってくるかと思ってたから拍子抜けした。
っていうか、
「…紗良って知らないこととかあんの?」
「あるに決まってるでしょ」
「え、例えば?」
「知らないわよ、そんなの。知らないんだから」
「……なんか、紗良らしくねぇ答え」
そういうと紗良はやっと俺に身体を向けて話しだした。
真っ直ぐ俺の目を見ながら。
「この世にはあたしの知らないことが星の数ほどある。知ってることより知らないことの方がずっと多い」
「…………。」
「だから生きてるの、あたしは。知らないことを知るのは楽しいでしょ。だから知りたい。だから生きてるの」
こんなことを言える紗良がかっこいいと思った。
紗良らしくないと思ったけど、そんなことない。
なんとも紗良らしい答えだと思った。
「ところで瑛斗はそのテーマについて何て書いたの?」
「え?俺?大切な人達の笑顔を見るため!」
そう言ったら紗良は「瑛斗らしい」と優しく笑った。
