ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
……謎だらけだったコウさん。
自分の正確な出身地も、みんなに隠していた。
そんなコウさんが、私にだけ見せてくれる素顔。
中でも、一番好きだと思ったのは……。
『おやすみ。明日、8時にフェリーターミナルから出て、帯広市内方面へ向かって欲しい。
途中で乗せるから』
航海中は相変わらず、一切プライベートな話をしないコウさん。
勤務の都合上、入籍するまで内緒にしていた私達の関係。
私達の連絡手段は、勤務時間外のメールだけだった。
緊張の連続だった航海中の仕事も、コウさんからのメールと、時々感じる優しいまなざしに支えられて、何とかこなしていた私。
海の上では、あくまでも厳格な上司である『パーサー』からのお誘いに、驚いた。
上陸してから、一緒に行動するのは初めてのこと。