ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

私がそう言ってコウさんの方を向くと、首を軽く振って苦笑いしていた。


「やっぱり、裕香にもそう聴こえたか。

どこで弾いてもそんな感じだよ、俺の音は。

メジャーコードもマイナーに聴こえる位、斜に構えた音が出るようになってさ。
だから、裕香の素直な音を初めて聴いた時、すごくいいなって思った」


初めて会ったあの夜。

私のピアノを誉めてくれたコウさんは、かつての自分にあった「音」を、私の中にみつけたのかも知れない。


「私はコウさんの音が、好きですよ。

イントロ聴いただけで、切なくて泣きそうでした」


そう、素直に打ち明けた。


< 306 / 332 >

この作品をシェア

pagetop