ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~
私がそう言ってコウさんの方を向くと、首を軽く振って苦笑いしていた。
「やっぱり、裕香にもそう聴こえたか。
どこで弾いてもそんな感じだよ、俺の音は。
メジャーコードもマイナーに聴こえる位、斜に構えた音が出るようになってさ。
だから、裕香の素直な音を初めて聴いた時、すごくいいなって思った」
初めて会ったあの夜。
私のピアノを誉めてくれたコウさんは、かつての自分にあった「音」を、私の中にみつけたのかも知れない。
「私はコウさんの音が、好きですよ。
イントロ聴いただけで、切なくて泣きそうでした」
そう、素直に打ち明けた。