ハッピー・クルージング~海でみつけた、愛のかけら~

そう言った私を見て、石田さんは頷いた。


「だろうと思った。
顔色悪かったし、いつ申告してくれるかなって思っていたの。
まず、字を見ちゃダメ」


私の手元から、さっとバインダーを取り上げて、それをまどかに渡す。


「あなたは大丈夫みたいね。
じゃあ、続けましょう。
……岩谷さんは、とりあえず事務室へ行って、ソファで横になっていて。
あ、エチケット袋、持って行ってね」


まどかが、気の毒そうに私を見ていた。

私も申し訳なさと不甲斐なさ、さらに気持ち悪さで涙目になりながら、一等客室の並ぶ廊下を走り抜けた。


私、何やってるんだろう。

初日からこんなんで、全く使い物にならなくて。

ただの足手まといになる位なら、いっそ下船したい。

停泊中の今なら、まだ降りられる。

事務所へ向かいながら、一瞬、それを考えた。




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