花嫁と咎人
◆ ◇ ◆
…早朝。
「だからヅラ被ってたのか!オレ、お前がマジで髪切って染めたのかって思ったよ。」
安心したと言わんばかりに大きく息を吐くオズ。
「んな事するわけないだろ。お前じゃないし。」
フランの合意の元、とりあえず今までの経過を彼に話した俺は、一階の椅子に腰掛け紅茶を飲んでいた。
「あ、そういえばさ。オレもあの貼り紙見たんだけど…お前齢18位の男って書いてあったよな。何あれ、サバ読んだの?」
向かいに座るオズがコーヒーをすすりながらプッと笑う。
「知らねぇよ。勝手に勘違いしたんだろ、国のお偉いさんが。」
全く、迷惑な話だ。
いちいち気にしてられない状況だったから、今まで何も言わなかったが…。
そんなに童顔に見えるのか、俺は。
「だろうな。だってお前、もう20歳目前だし。オレは18だけど。あ、ねぇ、そういえばフランちゃんは幾つなの?」
…フラン?
ああ、そういえば俺も知らないな…。
「多分18歳くらいだろ。」
適当に言ってその場をしのけば、それを聞いたオズは同い年じゃん!と声をあげなんだか楽しそうだった。
「それにしても運悪いよな。捕まって死刑囚扱いされちゃうなんてさ。この国以外だったら絶対無いよね、勘違いとか。」
…確かに、この国だから起こった出来事だ。
「まぁでも、それはそれでいい経験かもな。俺を知る人もいなければ、俺が知っている人もいない。鎖国のせいか、何もかもが古い所もまた見応えもある。」
つまり猫被る必要も無いということだ。