花嫁と咎人
「まぁ、そうだよね。特にハインツはそう思うかも。」
言いながらオズはコーヒーを一口飲んだ。
「…それよりさ、見つかったの。あの人。」
そして唐突に振られた…その話。
勿論俺は何も言えずに口ごもる。
一気に紅茶の味が不味くなったような気がした。
「…この国に来たのも…ぶっちゃけその為だろ。それに期限も二十歳までらしいし。」
「……ああ。」
「ねぇ、二十歳過ぎて戻らなかったらどうなるの。」
どっから入手したんだよその情報…。
そう思いながらも、ティーカップを置く。
そして小さく息を吐くと、重い口を開いた。
「義姉さんが、殺される。」
刹那、オズの息を呑む音が聞こえて。
「…嘘だろ。」
重苦しい空気が漂う。
「今まで何十ヶ国も回ってきた。でも、見つからなかった。時間的にも…この国が、最後の賭けになる。」
そして再び乾いた口を潤すように紅茶を飲んだ。
オズもコーヒーを口に運ぶ。
「ただ、分かればいい。死んでるのかそれとも生きているのか。たった一つの証拠さえあれば…何も失わなくて済む。…全てを取り戻す事ができる。」
すると珍しく、オズが深刻な顔をして下を向いていて。
「オレ、知らなかったよ…お前の事、全然。」