花嫁と咎人
◆ ◇ ◆
冷たい床。
裸足のままで、小さな窓から星を眺めた。
「…ハインツ。」
かすれる様な声で言った言葉は…星空へ溶け込んで。
「お前は、絶対に帰ってきてはいけないよ。」
もう、涙はとうに枯れ果てた。
短い銀髪を揺らし、その紅い瞳は…遥か果てを見つめる。
生きろ。と、祈りを捧ぐ。
縛られる事はない。
自分の事など気にしなくて良い。
寧ろ忘れてくれても構わない。
こんな人生、こんな世界。
もっと違う世界でお前には、
価値のある人生を歩んで欲しいんだ。
だから、ハインツ。
嗚呼、私の大切な―…。