花嫁と咎人

そして立ち去ろうとするハイネの後ろ姿を見てアーニャは立ち上がると…涙を溜めてこう言った。


「……ごめん、なさい…!」


しかしハイネは振り返る事無く口を開いて。


「許さねぇよ。」


一呼吸。


「……今はな。」


フン、と行って向こうへ言ってしまう。

…とりあえず、フランをどうにかしないと…。
だがそう思った矢先、ふと視界が暗くなってきた。


「なぁ、フランがいないんだ…、もしかしたら外に出ていっちまったのかも…!」


慌てるジィンに、鼻をすするオズ。


そうだ。
フラン…。
フランを探しにいかないと…。


だが、彼らの焦りとは裏腹に
視界がぐらりと傾いて…

オズとジィンの小さな悲鳴を残したまま、ハイネはあっという間に、再度、意識を失った。
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