花嫁と咎人

「隠し扉!」


只そう言って壁を叩き続ける。


「昔、女神様に教えて貰ったんだべ!何かあったとき、すぐに外に出られるように…地下に続いた通路の場所!」


…どうやら彼女はその隠し扉を捜しているらしい。
レネもそんなコレットの姿を見て、一緒に壁を叩き始めた。


「この通路行けば、馬小屋に出る!…そしたらそれで逃げればいいべ!」


必死になって捜す二人。


私も…何かしなくちゃ…!
そう思い手伝おうとしたほんの一瞬。

小さな窓のガラスが割れて、


「……!」


私は振り返った―…。



  ◇ ◆ ◇


「―…っ!」


必死にオーウェンの斬撃を交わしながら、エルバートは他の王国騎士団を倒していく。


「どうして、こんな事をするのです…!」


思わず零れる疑問。


「あなたはお父上の陰謀を知った上で、私を助けた、そうでしょう!?」


しかし、オーウェンはニヤリと笑って、


「自惚れるなエルバート!僕はお前に借りを返しただけだ!」


剣を横に凪いだ。

…エルバートは完全に混乱していた。
意味の分からない事だらけで、頭がどうにかなりそうだった。


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