花嫁と咎人

そんな二人の刃の先に立っていたのは、


「おや、久しいですね。姫様。」


金色の瞳で私を見る、オーウェン。


「―…、!」


気味が悪いほど静まる空気に、息を呑む音だけが響いて。


「…それに、生きていたのかエルバート。」


彼は視線だけを動かし…ゆっくりとエルバートとハイネを交互に見た。


「まぁ、いい。とりあえず、女王陛下を返して頂こう。」


そしてその刹那、オーウェンは大きく剣を振り降ろし。


―…ガキィン!


勿論二人の剣によって塞がれる斬撃。


「…っらぁ!」


ハイネとエルバートはそのまま剣で彼を部屋から押し出し…オーウェンを壁に押し付け、剣をはじき返す。

数歩下がり、二人と間合いを取るオーウェン。
すると彼は突然腰から短剣を抜くと…近くの窓めがけてそれを投げた。

大きく音を立てて割れるガラス。

どうやらそれが突入の合図だったようだ。

外で待機していた王国騎士団が声を上げ、


…一斉に家の中に入ってきた。


本格的に激戦が繰り広げられていく中、私は咄嗟に部屋の扉を閉める。
二人の安否も分からないが、ひとまずこうするしかなさそうだったから。

するとその時。
コレットがこの部屋の壁をバンバン叩き始めて。


「…な、何をしているの…?」


そんな彼女の背中に私がそう問いかけると、



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