花嫁と咎人

反逆者の革命


  ◇ ◆ ◇

岸壁沿いの小さな建物。

その名も“アンバーシュタイン新聞社”


澄み渡った青空。
ちょっと肌寒い風。

こんな天気はこのエリートなおれに似つかわしい!
…と思いながら外のベンチに腰掛けてコーヒーを飲む新聞記者の端くれ、
ウィリー・ジャクソンの目の前を横切ったのは、


「あっれ…編集長、今日スカートじゃないですか。」


ズボンを愛するあの編集長。
何故だか知らないが、今日はキリッとしたレディーススーツに身を包んでいる。

この姿を見るのは何年ぶりだろうと首を傾げながら見ていると、


「あ。」


自分を視界に捉えるなり彼女はズカズカと歩み寄ってきて。


「ちょっ、こんな時に何コーヒーなんて飲んでるのよ、この馬鹿!」


そう怒鳴るなり、


ドカッ!


突然ハイヒールでその股間を蹴り上げた。


「…―~~ッ!」


勿論その手からコーヒーカップは放り投げられ、悶絶したのはウィリー。


涙を浮かべて地を掻き毟り、


「…づ…づがいものにならなくなっだらどうじでぐれるんでずが、」


と地獄の底から沸き上がるような声で彼は言うが、


「もう使い物にならないからいいでしょ。」


と吐き捨てられノックダウン。

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