花嫁と咎人

「っていうか。そんな事してる暇があるなら、アレ、早く動かしなさいよ!」


そう言って彼女が指をさす方向に目を向ければ、そこには長年使われてなかったプロペラ機の姿があって。


「…もー…プロペラ機なんて動かしてどうするんですかぁ…」


てかまず動くんですかぁ、とブツブツ言いながらもウィリーは股間を押さえて立ち上がる。


「知らないわよ、どうしてもこれを使わなきゃいけないの!」


「国内なら車で十分じゃないですか。」


「誰が国内って言ったのよ、おたんちん!」


「…おたんちんて…。」


そして何だかんだ言いながらも、目の前に迫ったのはそのプロペラ機。


「期待しないで下さいよー。」


ウィリーはその機体に乗り込みながら小さく呟いた。

それからカチカチと何かを動かしては、うんうん唸るウィリー。


「…で、一体何処へ向かうんですか。」


暫くしてつまらなくなってきたのか、機内から彼は問いかけた。


「んー言わなきゃ駄目?」


「当たり前ですよ何言ってるんですか。」


眼鏡をいじりながら上目使いで腰をくねくねさせる彼女を見て、


「…止めて下さいよそのお色気作戦。見苦しいです、三十路のオバサンがそんな事。」


ウィリーがそう言えば、


「まぁ、酷いわね。心はまだティーンエイジャーなのよ。」


などと言って口を尖らせる編集長。



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