花嫁と咎人

――――…

ブランタンに着いたのは、早朝だった。

息を零して馬から下りるけれど、


「…っ、」


足に力が入らずにそのままへなへなとしゃがみ込んでしまって。

誰も居ないブランタンの町並みが孤独を引き立てる。



実はここへ来る途中にキャンベル姉弟の家にも立ち寄った。
だが周りの草原は真っ黒に焼け果て、無残にも家は半壊状態。

当たり前の様に姉弟の姿は無く、勿論エルバートもいない。

ただ…閑散とした廃屋がそこにあるだけで。


…嗚呼、私のせいだ。

私が皆を巻き込んでしまった。


自責の念に苛まれ何度もくじけそうになる心。

だけど、ここで諦めるわけには行かなかった。



私で、全てを終わらせる。



弱い自分の心を奮い立たせて、ここまで来たのだ。


「そうよ、私は女王なの。しっかりしなきゃ…!」


耳に付けたハイネのピアスを触りながら私は足に力を入れて立ち上がり、
以前お世話になった保安官ジャック・カーンさんの家の扉を叩いた。


すると暫くして開いた扉。
そしてそこに立っていたのは「誰だよこんな朝に…」と眠たそうに目を擦るジャックさんの姿で。

だが彼は私を見るなり「ぎゃあ!」と驚いてひっくり返ってしまった。


「お、驚かせてしまってごめんなさい、あの、私…」


「あ、あんた…あん時の、って事は…まさか女王陛下…!?」



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