花嫁と咎人

―…でも。


「ごめんなさい…私が力不足だったせいだわ…」


零れる涙。

手で顔を覆って必死に隠すけれど…人々は本当に優しかった。


「あんたのせいじゃないよ。」


そう言ってお玉を持ったまま、腰に手を当てるリサさん。


「…立派じゃないか。亡命すれば良かったのに…こうして戻ってきたなんて。」


それから私を優しく抱きしめてくれて。


「どうしてあの時嘘なんか吐いたんだい。…言えば良かったじゃないか。」


沢山の優しさに包まれた私は、より一層大きな声で泣いてしまった。


「―よし、こうなったら意地でも姫さんを城まで連れて行ってやろうじゃないか!」


するとジャックさんがいきなり大声を上げて立ち上がる。

そして―。


「おうさ!」


「女王陛下万歳!」


「国民の怒りをぶつけてやろうぜ!」


口々に叫び、人々は拳を上げて立ち上がった。


そして近くに置いてあった鍋などを装備にして、


『国の為に!』


振り上げたのは箒や鍬(くわ)。


とても強そうには見えない姿だけど…


「ありがとう…。」


その気持ちが、とても嬉しかった。



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