花嫁と咎人

再会、そして


―――…数時間後。

ブランタンの町の人に服を借りて…私は先に城へと向かっていた。

駆ける馬。

少し肌寒い空気。


そういえばタリアはどうなったのだろう。

エルバートは?キャンベル姉弟は…?


オズは無事に海を越えられたのだろうか。


それから…


ハイネは今…何処にいるのだろう。


考えれば考えるほど、不安になってしまう悪循環。


「…駄目よフラン。」


自分に言い聞かせるように何度も呟き、私は手綱を手繰り寄せた。


するとその時。

急に馬が足を止めたのだ。


「…え?」


驚いて顔を上げると…目の前には大きな森が口を開けて待ち構えていて。

私はすぐにこの森が“毒蛇の森”である事に気がついた。


…どうしよう。


おののく心。

でも今更サザルツの方へは向かえないし、馬では洞窟の中を歩けない。

砂漠に進む?

いや、馬では無理だ。

そうなればやはり…


「…行くしかない。」


私は下唇を噛み締めてぎゅっと手綱を握り締める。

そして…



馬は、駆け出した。


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