花嫁と咎人

皮肉とも言うべきか。
今まで起こった事を話しながら、俺はぎゅっと拳を握り締めた。


「分かって欲しい。」


そしてそう言えば、静かに頷くタリア。

だが、エルバートの方はそうもいかなかった。


「どうして、貴方だけがこの国を救う事が出来るのですか。」


ただ俺を凝視して不審な目で見てくる。


「…私は貴方の事を良く知らない。名家の生まれで母を捜す異国人、不運にも死刑囚として仕立て上げられてしまった。それは偽りなのですか?」


…偽り…。


「間違ってねぇよ。だけど、違うところがある。」


それを聞いた俺はニヤリと口元を歪めた。

知らぬが故。
全ては始まった事。


鎖国。
閉ざされた国。


フランも知らない本当の俺。

口を開き、紡ぎだしたのは…


「―…俺は、」





終焉の名。



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