恋人以上、恋人未満。


SAKAIグループって聞いたことあるかも...。
テレビとか電化製品作ってるところかも...
「理沙、これに着替えて。」
スーツ...!!あたし絶対似合わないよ...





「中西鉄工所です。」
聞きなれたお父さんの会社名。
「中へどうぞ」
女の人があたしたちを中に通した。





エレベーターで25階に行った。
エレベーターから降りたらそのまま部屋...!
大きなソファに座ってる大きな人...と女性。





「中西さん、こんにちは」
「酒井さん...このたびはまことにありがとうございます」
深く頭を下げるお父さん。
あたしもマナー教室で習ったとおり頭を下げた。







「そちらはお嬢様ですか?」
「はい。たった一人の子孫ですので、跡継ぎで...」
「うちも一緒なんですよ。千恵...」
「はい。お父様」





ずっと資料を読んでいた女性が顔を上げた。
き...きれい...。
桃花さんもほんとにきれいなんだけど...足元にも及ばない。
この世のものとは思えないほどの美しさ。





「酒井千恵と申します。今後も親子ともどもよろしくお願いいたします」
「こちらこそ。理沙は知恵さんと歳も近いので仲良くしてやってくださいね」
「ぜひ。よろしくね、理沙さん」
「こちらこそ。よろしくお願いします」







そのころあたしは作った笑顔を崩さないのに必死だった。






< 69 / 179 >

この作品をシェア

pagetop