恋人以上、恋人未満。


「隼人、こっちに来なさい」
「はい。」
こっちに歩いてくる背が高い男の人。
「私の息子の隼人です。」
「天王寺隼人です。よろしくお願いします」
笑顔であたしに右手を差し出す隼人さん。





「ぁ...こちらこそ」
あたしも引きつった笑顔で右手を差し出した。
なんて王子様スマイル...。
翔太の営業用スマイルみたい。
この人も営業スマイルなのかな??






なんて考えたら、人って信用できないなって思う。
「こちらへどうぞ」
あたしは軽く頭を下げて席に着いた。
待って...何?
何であたしと隼人さんが二人でお母さんたちが四人?






六人で楽しくお食事じゃないの?
このうさんくさい男と二人きり?
「ハンバーグは好き?」
「あ、はい。大好きです。」
「よかった」
ほっとした笑顔を見せる隼人さん。






その笑顔が少し優しくて胸の中があったかくなる。
「とってもおいしいです」
「ありがとう。シェフに伝えておくよ」
「はい」
あたしはおいしさのあまり心の底からの笑顔。







「理沙さん、ほんとに可愛いね。」
「そんなことないですよ。この前まで普通の高校生だったんで」
「お嬢様オーラ出てないとことか、自然なとこ僕は好きだよ?」
「ありがとうございます。優しいんですね」
とりあえず、笑顔だよね?





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