涙流~~RURU~~
第1章~始まりは笑顔で…~
「じゃあ、先に出るわね。鍵は忘れずにかけてね」



慌ただしくバタバタと大きな足音をさせ、玄関へと急ぐ母。



そんな中でも母は玄関脇の鏡に写った自分の姿を見て、手早く手櫛で髪の毛を整えている。



茶色の長い髪が細い肩の上でさらっと舞う。



「琴ちゃん、行ってくるわね」



白いコートに包まれた、その後ろ姿は決して振り返る事なく…



バタン…とドアを閉め行ってしまった。



1人になった私は窓越しに見える朝の空の色を眺め、小さなため息をついた。





そう…




私の朝は…、




私の1日は…、



いつもこんな感じで始まっていく。
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