氷の壁 -あなたとの距離- 【中編】
私を呼ぶ声に目を開け、声の主を見た。
「高浪さん!大丈夫!?」
その人は、
「遠山・・・梓・・・?」
少し視界がぼやけて顔ははっきりしないけど、優しく私を呼ぶあの声は、多分、あの人だった。
「あ、よかった。目開けてくれて」
「あなた・・・なんで、ここに」
「通学路なの。近くに家があるから」
「・・・そう・・・」
安堵感と、羞恥心。
弱いところを見られてしまった・・・。
嫌だよ、もう、恥ずかしい・・・!