王子様はご主人様!?


「お兄ちゃん、どうしたの?」



「あ……」



「最近元気ないよ?」




向かい合って夕食を食べる綾香が、眉を下げた顔で見てくる



「あぁ、別に大丈夫だよ。最近生徒会の仕事が忙しくて……」



嘘じゃない…



花梨が生徒会室から居なくなっても、会長の仕事はしなくちゃいけない



でも、前まで簡単にこなしてきた仕事が思うようにはかどらない……




「大変だね。誰か手伝ってくれないの?」



「俺の仕事だからな。自分でやんないと。」



なんて綺麗事……



生徒会役員なんてたくさんいるんだから、呼び出そうと思えばすぐに呼べる。



でも呼ぶ気になんてならない…



学校で生徒会室だけが俺の気が休めるところ…




そんなところに他のヤツなんて入れたくなかった。



でも気は休まっても……前みたいに心が温まるような感覚にはなれなかった……


それは紛れもなく、あいつが居ないから……




「お兄ちゃん?」



「あっ、悪ぃ―。何?」



「副会長とかは仕事しないの?」



「……え」



胸がドキンと高鳴った




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